ブログでプレゼン 〜キーエンスのコンサルティング営業について〜

先日の私のエントリー「私が考える良いプレゼンにするための6つの誓い」「良いプレゼン「6つの誓い」に頂いたコメントに回答してみます」は多数の方にご購読頂き、また色々なサイト・ブログでご紹介頂きました。

そのエントリーを執筆後に、ある企業の若手営業マン向けに小規模ですが「キーエンスコンサルティング営業」についての講演をさせて頂く機会が御座いました。今回はこのプレゼン資料を使いまして、ブログ上でプレゼンをしながら、どんな感じでやったのかというのを文章で再現してみたいと思います。皆様のプレゼンの参考になれば幸いですし、キーエンスコンサルティング営業は、特にBtoBビジネスの営業成功事例として学ぶべき点が多数あると思いますので、そういう視点で見て頂いてもよいかと思います。

ちょっと全体的に資料に文字が多いのは自覚しているのですが、今回の資料はテキストの側面もありまして、皆さんにコピーをお配りして、コピーを見つつプレゼンを聞いて頂きました。

今回のパワポ資料は表紙・目次含む15枚となりましたので、長文になってしまい恐縮です。。

キーエンスコンサルティング営業について

みなさんこんにちは。和田伸午と申します。本日はキーエンスコンサルティング営業について皆様にお話させて頂きたいと思います。

(補足)
いつもでしたらもう本題に入るところですが、今回私は冒頭に下記のお話をしました。ちょっと「しらけ鳥」が飛ぶ危険を感じたからです。。

キーエンスは高給で大変有名な会社ですので、「営業がすごい理由は高給のおかげだ」という話になってしまいがちです。ですが、私はそれだけではないと考えておりまして、今回ご紹介するような地道な取組がキーエンス営業マンの強さの源泉だと考えております。ですので、是非私の話に少し耳を傾けて頂き、少しでも皆さんの営業活動に生かしていただければと思い、本日準備致しました。

そして今回の内容ですが、この5本立てで構成しております。

では早速本題に入りましょう。まず、キーエンスの取扱製品を見ておきたいと思います。

キーエンスの取扱製品ですが、製造業のFA化(Factory Automation)に欠かせないセンサー(検出/計測)・測定器が主力商品でして、センサーを中心とした製品群を組み合わせて「ソリューション」を提供する、これがキーエンスのビジネスの真骨頂であります。

(補足)
という感じで、プレゼン資料タイトル下の行を、若干変化を付けつつ読んでいきます。資料はお配りしてますので、文章以外の細かい部分の説明はしませんでした。あとは、「ヘリコプターのラジコンなんかもやってるようですね。。」と若干和ますお話を入れたり(それほど和みませんでしたが。。。)

皆さんの中には、「なぜ今日キーエンスの話なのか」とお思いの方もいらっしゃると思いますので、ちょっとその点をお話しておきます。

図でキーエンスと御社のビジネスフローを簡単に書いたものですが、このキーエンスのソリューションを提供するビジネスフローと皆さんのビジネスフローは、非常に共通点が多いと思うんですよね。ですので、キーエンスの営業のお話の中に、皆さんの営業活動に生かせることがあるのではないかと思いまして、今回ご紹介しようと思った次第なんですね。

そこでまず、キーエンス全体のビジネスモデルを整理してみたものが次のスライドになります。

ちょっと字が多くて恐縮なのですが、ここでのポイントは、営業マンのコンサルティング営業を基点とする顧客直結型の情報の流れ、そしてこの情報の全社的な徹底活用が、キーエンスが得意とする「顧客さえ気付かない潜在的課題を解決するソリューション提供」の原動力となっているところです。営業マンが非常に重要な役割を担ってるわけですね。

またモノの流れでは、ファブレス化、製品の標準化など合理性を徹底的に追求しているんですが、優れた製品開発を支える自前の開発・製造機能をキーエンスは持っていまして、単なる合理性・低コスト追求ではなく、付加価値の高い商品・サービスを提供できる体制が整備されています。

また顧客対応、そして納入・アフターサービスの「Quick Response」が非常に重要なキーエンスの強みになっておりまして、これを支えているのがキーエンスの営業マンなんですね。

それではここからはキーエンスコンサルティング営業の強さを詳しく見ていきたいと思います。

キーエンスの営業は、製造現場など顧客の深い部分に入り込み、図のように「顧客ニーズ探索・翻訳」「顧客へのソリューション提案」「顧客への徹底フォロー・提案の実現」のフェーズを繰り返し回していくスタイルになっています。このフェーズを回していくことにより、「顧客の潜在的課題の発見⇒潜在的課題解決により信頼獲得⇒更に深い部分にアクセス可能」という「Good Cycle」が回り続けておりまして、これがキーエンスの持続的な成長の原動力となっているんですね。

そこで次はコンサルティング営業の実例をご紹介したいと思います。これは、ドリンク剤のパッケージ内にストローが入っているか、入っていないかをセンサーを使った検査で判定するという事例です。

スライドの右真ん中あたりに落書きみたいなものを載せておりますが、これはキーエンス営業マンが顧客の製造現場で実際顧客と一緒にセンサーを使った検査方法を検討したときの実際のメモになります。こんなメモがスタートとなり顧客へのソリューションを提供していくのですが、顧客のニーズの把握からソリューション提案、デモンストレーション、導入と社内への横展開まで営業マンが一気通貫で手がけるのがキーエンスコンサルティング営業の特徴であり、強みであります。

次は、先ほど4ページで少しお話した営業マンの「Quick Response」。これについての顧客の賞賛の言葉がありましたのでご紹介したいのですが。。

このこわもてのエンジニアが言っております「電話一本ですぐに実機を持ってとんで来る」。これがキーエンスの営業マンを良く言い表していますね。この顧客に深くコミットしたキーエンス営業マンの「Quick Response」。これは18時までの注文には翌日納入で対応する「即納体制」と共に、競合他社を寄せ付けないキーエンスの強力な差別化要因となっていおります。

こんなにすごいキーエンスの営業マン達ですが、やはりこのすごさは、これを支える仕組みがないとなかなか持続するものではありません。そこで、この強さを支える仕組みについて見ていきたいと思います。

このスライドは、先ほど5ページで見ましたキーエンス営業マンのビジネスフローをベースに、その役割実現のために必要な能力、そしてその能力を習得するための仕組みをまとめたものです。このシートは非常に重要です。この「どんな能力が必要なのか」を明確にすることが非常に重要でして、キーエンスの場合は「顧客への強いコミットメント」「商品への深い理解」「コンサルティング力・提案力」「コミュニケーション力」が必要となってきます。

これらを習得するために「営業マンへの大幅な権限委譲」「商品知識理解・理論武装の徹底」「営業活動の質の徹底追及」「情報・成功事例・ノウハウの共有」がポイントとなり、これを実現する具体的な仕組みとして「1.テリトリー製による権限委譲」「2.週1回の新商品勉強会」「3.無駄な外出はしない」「4.ロープレ(ロールプレイング)」「5.ガイホウ(外出報告書)」が整備されているんですね。では、それぞれの仕組みについて、もう少し見ていきましょう。

まずは「1.テリトリー制による権限委譲」。キーエンスの営業マンは一定のエリアを一人で任されるテリトリー制を採用していまして、その営業マンがマーケティング戦略の立案・実行、コンサルティング、アフターフォローまで全てを一任されております。また顧客に提供した「付加価値」をベースに評価される仕組みになっており、もともと顧客への貢献意欲の強い営業マンですが、更なる顧客へのコミットを高める原動力となっております。

次に「2.週1回の新商品勉強会」。キーエンスの営業マンは本当によく勉強します。新商品の発売前には勉強会が必ず開催され、これも単なる一方通行の勉強会ではなく、「この説明では顧客にうまく理解してもらえない」など、営業側からも意見が出るインタラクティブな勉強会が開催されています。その結果、営業マンはセンサーのことであれば、自力でセミナーを実施できるほどの能力を獲得するんですね。

続きまして「3.無駄な外出はしない」。キーエンスの営業マンの外出は平均週2回、多くても週3回まで。「はっきりとした目的もなく顧客を訪問することは顧客の時間を奪うだけ」と堅く禁じられております。その分、社内にいるときは、顧客の要望への対応、新商品の勉強、提案内容の準備・質の追及など、営業活動の質の向上に費やされます。

次は「4.ロープレ(ロープレイング)」これが1番特徴的かもしれません。まず顧客訪問前にプレゼンテーションの「事前ロープレ」。これは皆さんもあるかもしれないですね。ここで面白いのがこの「事後ロープレ」という取組です。どのような営業活動、セールストーク、プレゼンテーションが制約に結びついたかを再現する「事後ロープレ」を実施して、営業チーム全体で追体験し、成功事例を共有することを目的として行われます。これは一つ皆さんでも導入を検討されては如何でしょうか。

そして最後が「5.ガイホウ(外出報告書)」。営業マンは顧客訪問日に必ずその日に上司に報告します。それだけでなく、営業活動で仕入れた顧客の要望は、新商品のネタに関しては「ニーズカード」、既存品の改善提案は「フィードバックシート」に記入、速やかに企画・開発部門にその情報が送られます。これらの情報がキーエンスの卓越した商品開発力の種となるんですね。

ここまで6つの仕組みを見てきましたが、皆さんもお気づきかもしれないですが、非常にベーシックな取組だと思いませんか。このベーシックな取組を愚直・徹底的にやり、また環境変化に合わせて変えていく、これにより仕組みも更に進化し、営業マンも更に成長していく。これがキーエンス営業マンの強さの原動力になっているんですね。

では、実際にあるキーエンス営業マンの一週間を追ってみましょう。

この営業マンのこの一週間は3日が外出、2日が社内ですね。非常にメリハリがはっきりしています。外勤では、顧客向けの勉強会を開催したり、展示会を開催したりと、単なる御用聞きを超えた高付加価値な営業活動が行われており、また内勤では業界ロールプレイング、営業ツール作成など、営業活動に向けた周到な準備が行われていることがわかると思います。先ほど見ました6つの仕組みもしっかり行われていますね。キーエンスの営業マンは直帰しないんですね。。

これで最後になります。キーエンスの営業マンのコミュニケーション力を分析した人がいまして。。。

その人によりますと、キーエンスの営業マンは「人間力」「論理力」「対話力」を常に鍛えていて、各要素でStage1からStage2、Stage3とスキルアップを図っていくことにより、コミュニケーションの能力を総合的に高めている、ということなんですね。皆さんもこのチャートを使って、自らのコミュニケーション力診断に使って見て下さい。参考になればと思います。

それでは最後にまとめです。

キーエンスの強みである「顧客の潜在的課題を解決する製品・ソリューションの開発」は、営業マンを基点とした情報の流れ、その情報の全社的な徹底活用が大きなポイントとなっています。

そしてキーエンスの「コンサルティング営業」は、顧客の潜在的課題の解決⇒顧客の高い信頼を獲得⇒更に深い部分にアクセス可能、という「Good Cycle」が回り続けており、キーエンスの持続的な成長の原動力となっている。

そして顧客に深くコミットしたキーエンス営業マンのクイックレスポンスは「即納体制」と共に、競合他社を寄せ付けないキーエンスの強力な差別化要因となっており、この強い営業マンの成長をサポートするため、1.テリトリー制による権限委譲、2.週1回の「新商品勉強会」、3.無駄な外出はしない、4.ロープレ、5.ガイホウなどの仕組みが整備され、有効に機能している、これがキーエンスコンサルティング営業であります。

で最後にボックスに書いていることが本日私が最も言いたかったのはこのことでして、御社のようなBtoB製造業においては、製品やサービスでの差別化が難しい状況であったとしても、今回ご紹介したような「コンサルティング営業」が競合に対する大きな差別化要因となりえる、ということなんですね。ですので、今回ご紹介したキーエンスの事例を少しでも参考にして頂き、皆さんの営業マンとしての成長に生かして頂ければと思い、私のプレゼンを終了させて頂きます。

最後に今回参考にした資料を載せておきましたので、興味を持った資料を是非読んでみて下さい。

では、本日はご清聴有難うございました。。。

最後に 〜お付き合い頂きありがとうございました〜

長々としたブログでのプレゼン。最後までお付き合い頂きまして、有難うございました。前回のエントリーでは「文章の羅列は死んでもやらないと誓う」と言いながら、最後のまとめのスライドでばっちり羅列をやってしまったりと、若干矛盾をはらむ内容でありましたが(汗)、皆さんの参考になればと思います。

私のブログもこの3月でスタートから1年が経過しました。始めた当初では考えもつかなかったほどの反響をいつも頂き、本当に皆様に感謝しております。そんな感謝の意味もこめまして(そんなにたいしたこと無いのですが。。。)今回ご紹介した「キーエンスコンサルティング営業について」のプレゼン資料のパワポデータを、ご希望の方がいらっしゃいましたら、下記メールアドレスにメール頂ければお送りしますので、メールにてご連絡下さい。何かに生かして頂ければ幸いです。

アドレス:shinwada324@gmail.com

ではでは。今後とも宜しくお願い致します。

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みなそれぞれの「変人論」「バカ論」に思う

昨日、朝から衝撃的な言葉に出会い、このエントリーを書いております。。

私は「はじめての課長の教科書」「はじめての戦略の教科書」の著者として知られるオランダ在住(5月に日本に帰国されるそうですね)の酒井穣さんを自分で勝手に師匠と思いお慕い申し上げておりまして、毎朝酒井さんのブログを拝読させて頂いております。酒井さんのブログは更新頻度も非常に高く、またその質も素晴らしいものばかりでいつも勉強させて頂いております。まさしく「ブログを介したMBA講座(と言っても酒井さんの実業経験をバックボーンにした、机上論を脱した現場立脚型のMBAです)」のようになってますので、是非皆さんもチェックしてみては如何でしょうか。上質の講義をタダで受講できます(笑.)。ちょい前ですが私のお勧めはこのビジネスパーソンに求められる3つの基本スキルです。

昨日の朝もいつもの通り酒井さんのブログをチェックしてたんです。「おっとまた更新や」と思い、読み始めたそのタイトルは歳を感じた瞬間

酒井さん、日本への引越しでお忙しいようなのですが、とは言いながら本の整理中昔読んだマンガなどをめくり始めると止まらず読んでしまうという話しを書かれています。そして「あしたのジョーが止まらん」という話なのですが、そのあしたのジョーに登場するヒロイン、白木葉子が語ったこの言葉、私は今年最大の衝撃を受けました。


他人には変人あつかいをされるきょうという日があってこそ・・・あしたは・・・・ほ・・ほんとうのあしたは・・・・!
あしたのジョー 白木葉子の言葉より)

深っ。

何でしょうか。かのSteve Jobsスタンフォード大学でのスピーチでの超名言「Stay Hungry, Stay Foolish」にも匹敵するぐらいのこの含蓄の深さは。。。

そしてそして、この白木葉子の名言に触れ、まだ東京に来たてでびびっていた頃に私が勇気付けられ、また奮い立たされた、日本を代表する詩人(そう思っているのは私だけでしょうか)アントニオ猪木氏の最高傑作の下記のポエムを思い出したのです。


馬鹿になれ とことん馬鹿になれ 恥をかけ とことん恥をかけ
かいてかいて恥かいて 裸になったら見えてくる 本当の自分が見えてくる
本当の自分も笑ってた それくらい 馬鹿になれ
アントニオ猪木 「猪木詩集 馬鹿になれ」より)

白木葉子の「変人論」、Steve Jobsの「Stay Foolish論」、そしてアントニオ猪木の「バカ論」。各々意図するところには大小の差があると思うのですが、昨日の私の中ではこの3つが点のように繋がり(Steve Jobsスタンフォード大学でのスピーチで「Connecting Dots(点を繋ぐ)」という話をしてましたね)、線となり、面となり、深く心に残りました。

見るからに「変人」という人もおられますが、一見普通な人でも心の中には「小さな変人」がいるもの。白木葉子が語るように、この「小さな変人」を慈しみ、大切にし、育むことが、明日の自分を、そして未来を創るのだと確かに思います。

皆さん、心の中の「小さな変人」を大切にし、盛大な愛を注いでやりましょう。

酒井穣さん、素晴らしい名言をご紹介頂き、有難うございました。今後とも宜しくお願い致します。


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イチローに見る「生まれ変わるための死」〜豊田泰光氏コラムより〜

皆さん豊田泰光さんという野球評論家をご存知でしょうか。現役時代は西鉄黄金時代を支えた名打者で、現在は野球評論家として、いや野球評論家の域を超えた素晴らしい発想力と文章力で球界を切るOne and Onlyな方であります。

豊田さんは、日本経済新聞朝刊スポーツ面で定期的に「チェンジアップ」というコラムを手がけられています。私はこのコラムが大好きでいつも拝読しているのですが、先日3月5日(木)の朝刊に掲載されたコラムが出色の出来で、かつ強烈に胸に残るメッセージを私に残してくれました。是非皆様にもご紹介させて頂きたいと思います。

今回のテーマは3月5日に開幕したWBCにおけるイチローの不振について。強化試合6試合で打率1割3分。イチローレベルまで行ってしまうと誰も何も言ってくれない(言えない。。)ので、イチローしか経験できない「孤独」がそこにあると豊田さんは語っています。

そんなイチローを豊田さんは別の見方もしていて、その視点が私の心の奥深くに残りました。

野球にはいろいろな見方があり、現在のスランプを老化ではなく、一つの死なのだと見ることもできるだろう。新しいイチローに生まれ変わる過程としての死。(中略)打者というものは小さな死と再生を繰り返しながら、大きくなっていく。イチローほどの打者でも、そうした打者の普遍の心理に従わざるを得ない。野球はやはり深い。
日本経済新聞 3月5日朝刊 スポーツ面 豊田泰光「チェンジアップ」)

新しく生まれ変わるための「死」。これは野球に限ったことではないと私は思います。イチローは「野球バカ一代」を突き進むことにより、極限まで達して「死」を向かえ、苦悩しまた「再生」するというサイクルを繰り返しながら、張本勲氏の日本記録3085安打にあと2本の日米通算3083安打まで辿り着いたんだと思います。

これを私に置き換え、果たして私は今まで「死」を迎えるほど、何かを突き詰めたことがあるだろうかと自問自答したのですが。。。

このコラムを読んで、女子マラソン野口みずき選手のことを思い出しました。ダントツの強さで北京五輪の代表に選ばれたんですが、けがで本番に出場できなかったことを。このように、残念ながらとてつもない努力を重ねたにも関わらず、その目標は達成されなかったということがどうしても起こってしまいます。その時にもし「これは生まれ変わるための死である」と捉える事が出来たら、目標を達成できなかった事実を受け止め、また前を向いて歩けるのではないかとも思いました。

人間が本当にいつか死んでいくわけですが、その人の人生は「いかに生きながら死ぬ経験を重ねたか」によって輝くのだろうと、豊田さんのコラムを拝読し思った次第です。

昨日の中国戦でもイチローは5打数0安打とやはり結果が出ておりません。もしこのまま結果が出ず、日本がWBCチャンピオンになれなかった場合、イチローには厳しい試練がまっていると思います(当たり前ですが、私もそんなことを望んでいるわけではないですよ。。)但し、仮にそうなったとしても、それは「新しいイチローに生まれ変わるための死」であり、その試練を乗り越え、必ず再生し、また誰も見たことのない境地を我々にも見せてくれるはずだと、豊田さんの渾身のコラムを読み、強く思いました。

私はイチローが「50歳まで現役でやりたい」と言っていたことが大変印象に残っています。イチローは必ずやってくれると思っていますし、私は心より応援しています。

全文掲載が出来ないので部分引用で恐縮ですが、是非ご自宅や会社で3月5日(木)の日本経済新聞朝刊を探し出して読んで頂きたい、豊田さんの野球への、そしてイチローへの愛に満ちた素晴らしいコラムでした。

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日本のエレクトロニクス企業は本当に「全滅」なのか

先日もソニー新体制の発表があったりと、非常に厳しい状況にある日本のエレクトロにクス業界。ちょっと前なのですが、週刊ダイアモンドが2月21日号で「電機」全滅!瀕死のテレビ・半導体は再生できるかというショッキングなタイトルで、日本のエレクトロニクス大手9社(日立、パナソニックソニー東芝富士通NEC三菱電機、シャープ、三洋電機)の業績と業界の分析を行っています。現在エレクトロニクス業界で起こっていることを俯瞰するのに非常に良い記事でした(エレクトロニクス業界に身を置く私としては、まぁ手のひらを変えて、ここまでボロクソ言うかとも思いましたが。。)

この記事では、大手9社の最終利益(税引後当期純利益)を見て「電機全滅」という話をしています。確かに最終利益も大事なんですが、やはり「本業の力はどうなってるんだろう」と考えるとやはり「営業利益でも比較してみたい」と思いまして、営業利益自体は比較的容易に手に入る情報ですので、今回整理してみました。

大手9社の売上と最終利益を見る

下記のパワーポイント資料の上段が2008年度売上予想、下段が最終利益予想をグラフ化したものです。

三菱電機の最終利益100億円、三洋電機の損益トントンを除く7社が最終赤字。特に日立の7,000億円の最終赤字、これは日本経済新聞によると「我が国製造業で過去最大の赤字」とのことです。

そこで、下記が07年度と08年度の最終利益の増減を比較したグラフです。下段が最終利益額の比較、上段は08年度の対前年比増減率で示したものです。

どの企業も最終利益を悪化させているのですが、特に日立とNECが突出して最終利益を悪化させていることが分かると思います。

この最終利益のグラフだけ見ると「日立、NECは大丈夫か」「パナソニックソニーに負けているのか」という話しになるんですが、最終利益だけではなかなか各企業の本業がどうなっているのかというのがよくわからないと思うんですね。

08年度の最終利益と営業利益を比較する

そこで、08年度の最終利益と営業利益を一つに整理したものが下記のグラフです。青部が営業利益、紫部が最終利益です。これを見るとちょっと様子が変わってきます。

9社中営業赤字はソニー東芝NEC、シャープの4社。残り5社はなんとか営業黒字を確保しています。上段の営業利益に営業利益率を書いておきましたが、事業の選択と集中を進める三菱電機が営業利益率3.3%でトップ。以外と(と言ったら怒られますが。。)三洋電機の営業利益率1.6%が業界2位であります。

三洋電機の第3四半期決算書からはっきりとは読み取りづらいのですが、白物家電系では洗濯機、産業用途ではショーケースや業務用厨房機器、部品系では二次電池太陽電池が増加し、他の部門の減少をカバーし営業黒字を確保しているようです。

また、グラフから、最終利益では中位であった東芝ソニーの営業利益が突出して悪いということがわかります。

そこで、下記が2008年度最終利益と2008年度営業利益のワーストランキングを比較したものになります。最終利益の順位と営業利益の順位は相当異なるということが分かると思います。


07年度の営業利益と08年度の営業利益を比較する

そこで、先ほどの最終利益と同様、07年度と08年度の営業利益を比較してみました。下段が営業利益額の比較、上段は08年度の対前年比増減率で示したものです。

一番営業利益率を悪化させたのが東芝、07年度2,381億円の営業黒字から一転、08年度は2,800億円の営業赤字と、対前年比-218%という大変厳しい数字です。次がソニーで、07年度3,745億円の営業黒字から08年度は2,600億円の赤字と、対前年比-169%とこれも非常に厳しい数字です。。対前年比で見ても、この2社が特に本業での損益を悪化させていることが分かります。

ここで「電機は本当に全滅なのか」という問いに対する私の回答としては下記になりますでしょうか。

一律全滅というのは誤りではないかと考える。あのトヨタが4,500億円の営業赤字に陥るほどの厳しい市場環境の中、日本のエレクトロニクス企業大手9社は5社(日立、パナソニック富士通三菱電機三洋電機)は営業黒字を確保。NEC、シャープが共に300億円の営業赤字と苦しい状況であるが、大手9社の中でも東芝ソニーは特に厳しく、東芝は2,800億円の営業赤字、ソニーは2,600億円の営業赤字と本業が厳しい状況に陥っている。

東芝ソニーについて私が思うこと。。

そこで「東芝ソニーの共通点ってあるんだろうか」と考えていたんですが、これは偶然なのかもしれませんが、営業利益を大きく落としているソニー東芝、両社の業績には韓国サムスン電子の影が大きく影響しているように思われます。

ソニーはその最大の財産であるブランド力をフルに発揮し、液晶テレビではサムスンとトップシェアを争っていますが、どれだけ売っても赤字から脱却できない状況が続いております。その原因として挙げられるのが液晶パネルの調達先問題。ソニーは自前の液晶パネル工場を持っておらず、液晶パネルをサムスン電子との合弁会社から調達しています。今日の日経でも載っておりましたが、同じパネルを使っているサムスン液晶テレビ事業は黒字で何故ソニーは赤字続きなのか。ここにストリンガー会長が相当お怒りのご様子で、この問題が昨日発表された新体制に刷新した理由の一つのようです。

また、東芝サムスンNANDフラッシュメモリーで激しいシェア争いを繰り広げており、昨年まで巨額の投資を行ってきました。この投資の理由は東芝DRAM事業でサムスンと激しくシェアをっていたいた1990年代後半の怨念までさかのぼります。DRAMの市場価格がどんどん下がる中、サムスンが巨額の投資を継続し巨大な製造キャパをバックにしたコスト競争力を武器にシェアを日本企業から奪い始めます。当時東芝はその投資競争についていくことができず、その結果DRAM事業撤退という苦渋を嘗めさせられた苦い経験があるのです。ですので「同じ轍は二度と踏まない」と誓い、サムスン同等の巨額投資を継続してきたのです。その戦略が功を奏し、昨年まではサムスン電子と互角の戦いを繰り広げ、シェア争いでじりじりとその差を詰めてきていました。日本の半導体メーカーが相次いで厳しい状態に置かれる中、唯一東芝だけが世界を舞台に戦いを続けていたのです。

そのサムスン電子ですが、決算期が違うので単純比較はできないのですが、2008年1月〜12月期の売上は対前年比15%増の4兆3,770億円、営業利益は対前年比30%減の2,378億円の黒字、最終利益は対前年比26%減の3,318億円の黒字と、対前年比では若干落ち込んでいるものの、東芝ソニーとは比べ物にならない業績を叩きだしております。。

私が思うに、世界のテレビ市場でサムスンと伍して戦えるのは、パナソニックではなく、シャープでもなく、やはりソニーだと思います。そして日本の半導体メーカーが苦しむ中、サムスンをはじめとする世界の強敵と戦う力を持っている唯一の存在は東芝だと思います。

2008年度の数字で見る限りは特に厳しい状況にあるソニー東芝。しかし本来は大きな力をもつ日本を代表する企業です。この苦境を乗り切り、再び世界市場でその輝きを取り戻す日がくることを私は心から祈っています。

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良いプレゼン「6つの誓い」に頂いたコメントに回答してみます

先日アップしました私が考えるプレゼンを良いものにする6つの誓い、多くの方に読んで頂き、そして多くの方のサイト・ブログでご紹介頂きまして、本当に有難うございました。何が一番嬉しかったかといいますと、私の内容をきっかけに、皆さんがいろんなオリジナル・ノウハウを惜しげもなくご披露いただき、それを基に私もまた勉強させて頂いたことです。これがブログの魅力ですね。重ね重ね御礼申し上げます。有難うございました。

私が一番言いたかったことは、プレゼンにあたり「自分なりのセオリーを持っておいたほうが良いプレゼンになる」ということなんです。私がご紹介した内容はあくまで「私の誓い」ですので、あくまで参考程度に、是非皆さんのオリジナルの「誓い」をブラッシュアップして頂ければと思います。

色々質問・コメント頂いた中で、私なりの回答を差し上げたほうが良いかなと思ったことがありましたので、参考になればということでアップさせて頂きます。

頂いたコメント・コメント

  • 文字色は何を使っているか。。
  • フォントスタイルは何を使っているか。。
  • タイトル28ポイント、メッセージ16ポイントは文字サイズが小さいのでは。。
  • 文字の羅列をやめるのが難しい。。
  • プレゼンする機会があまりない。。
  • しゃべりはプレゼン資料と一致させ、事前に資料を配るのであれば、そのプレゼンを聴く必要がないのでは。

文字色は何を使っているか。。

色を言葉で表現するの難しいので、下記パワーポイントで示して見ます。

基本の文字色は一般的な黒です。Apple社のホームページを見ると、文字もグレーっぽい色になっていてかっこいいんですが、「そこまでやらなくてもいいか。。」と思い、基本の黒を使ってます。濃い目のグレーでもいいかもしれないですね。

タイトル部分は上記パワポ資料向かって左のカラーパレットの若干中間色の青色です。この色は個人的に好きで、文字色以外でもかなり多用しています。タイトル下のメッセージ部分の頭の□も同じ色です。

また、強調部分で使う赤色は、向かって右のカラーパレットの若干中間色の赤色です。原色の赤を使うより若干やわらかい印象が出る感じがしてまして、ポイントとなる部分にこの色を使っています。

基本この3色でまとめるようにしています。(ちょっとパワポ資料わかりにくいですね。。すいません。。)

フォントスタイルは何を使っているか。。

フォントも色々あるので、色々凝りたくなるところですが、フォントに凝った資料がかなり見づらかったという経験をしまして、フォントはBasicな「MSPゴシック」を使ってます。

またごくたまに英語で資料を作ることもあるのですが、その時はアメリカ人に教えてもらった「Tahoma」というフォントを使っています。それ以来これ一本。ちょいとかわいいフォントなのですが、全体すっきりとしていて、比較的見やすいかなと思っています。下記が「Tahoma」を使ったパワポ資料です。。

フォントは好みがありますし、私も全部のフォントを知っているわけではないので何とも言えないのですが、フォントをあまり凝らないほうがいいんじゃないでしょうかね。私は「これと決めたフォントを骨の髄まで使いまわし、あまり浮気しない」ということがポイントだと思っています。

(補足)「使う色は3色まで」と言っておりますが、今回のようなグラフの場合、どうしても3色以上になってしまいます。。このあたりはご理解頂きたく。。

タイトル28ポイント、メッセージ16ポイントは文字サイズが小さいのでは。。

このご指摘、その通りであります。。「聴衆に見やすく」ということを考えると、文字の大きさをどうするかはかなりプライオリティーが高いテーマだと思っています。小さい文字でのプレゼン、しかも事前配布なしとなりますと、これは拷問以外の何者でもありません。。ですので、「できるだけ文字を大きく」という点については、私も大賛成です。

ここで私が思っているのは、

  • 文字サイズは自分がふさわしいと考えるサイズで固定、ページ間で異なるサイズは使わない(ページ間でサイズが異なると、見づらいように思います。)
  • 一番自分がしっくりする文字サイズに固定してしまうことにより、「文字サイズどうしようか。。」と悩む時間を削減し、その時間を中身の充実に使う

ということでしょうか。皆さんなりのふさわしい文字サイズを選択して頂ければと思います。

文字の羅列をやめるのが難しい。。

これはですね、私も偉そうなことを言っておりますが、本当に難しいですし、なんと言っても時間がかかってしまうんですね。。これに対するドンピシャな回答って本当にないんですが、たまに私がやっている裏技(と言えるかな?)をご紹介します。

それは「真似する」という単純な話です。「何を真似するか」ということなんですが、「日経ビジネス」「週刊東洋経済」「週刊ダイアモンド」などの、経済週刊誌から図表を拝借しております。。

例えば、下記のようなプレゼン資料があったとします。文字の羅列をやってしまったバージョンですね。。

先日のエントリーで私が申し上げた「文字の羅列脱出術」は下記のようだったと思います。

これでも十分だと思いますが、そんな時、もうひと踏ん張りする元気のある方は、皆さんの会社にある経済週刊誌をパラパラと見て頂きたいんですよね。例えば、こんなページに遭遇すると思います。。

そしたら、「おっ。これ使える!真似しよ!」と思われた方は素晴らしい!これを「真似させて頂く」と、下記のような資料に仕上がると思います。。

どうでしょうか。「ちょっと出来すぎちゃうの?」とおっしゃる方がおられるかもしれませんが、経済週刊誌には「真似できる」図表が数多く使われていると私は思っています。もしあなたが窮地に陥った場合、是非経済週刊誌を手にとって見てください。何か助けになるかもしれません。

プレゼンする機会があまりない。。

何でもそうだとは思うのですが、プレゼンは特に「経験が物を言う」といいますか、「場数を踏まないとなかなか上達しない」ものだと思います。しかし、そんなにプレゼンの場が与えられるわけでもない。実は私もそうなんです。偉そうな事を言ってますが、そんなにバンバンプレゼン機会があるわけではありません。その現状を踏まえ今私が考えているのは、「ブログを使ってプレゼンする」ということなんですね。

ブログというのは自由に情報発信が出来るメディアですので、こんなに恵まれたプレゼン機会はありません。私もこのブログではパワーポイントで作った資料をGIF、PNGファイルに変換してブログに貼り付けて、まるでプレゼンしてるかのようにエントリーを書いたりしています。これは今考えると、プレゼンスキルを磨く場をして有効に機能したかなと思っております。

ブログは「場数を踏む」絶好の機会になると思います。プレゼン機会が少ないという方は、是非自分のブログを立ち上げて、その場でプレゼンスキルを磨いていただければと思います。匿名でも全然OKだと思います。

しゃべりはプレゼン資料と一致させ、事前に資料を配るのであれば、そのプレゼンを聴く必要がないのでは。

「しゃべりと資料を一致させる」というのは、頭から最後まで完全に資料を読んでいるだけというわけではないんですね。お伝えしたい部分は「しゃべりと資料を一致させる」んですが、図表の解説や、他の事例を紹介したりなど、伝えたいことをより効果的に伝えるために必要な「資料に無い情報」は適時入れたりしています。但し、あくまで必要なものだけに留めますけどね。

また、「聴く必要がないのでは」ということに関しては、こう考えています。

例えば1時間のプレゼンとして、1日8時間働いている方の1時間を頂戴するというのは非常に重いことです。ですので、その方がもし「この資料さえあればプレゼン聴く必要ないな」と思われたら、プレゼンは聴かずに資料だけ読んで頂き、「1時間を別のことに使って頂いたほうがその方のためになる」と私は思うんですね。

前回も書きましたが、「プレゼンを聴くか聴かないかのボールは聴衆が握っている」と思っています。ですので、プレゼンのテクニックを使ってお忙しい人たちを無理に自分のプレゼンに引き留めるのはちょっと違うんじゃないかと考えているんですね。ですので、基本お伝えしたいことは言葉にして資料に盛り込み、資料を読んだだけでも伝わるようにしたいと思ってやっています。

何かの縁で私のプレゼンに関わりを持った方にとって「何が一番良いのか」を考え続けていきたいというのが私の思いです。

質問、コメント頂いた方への回答になってますでしょうか。何か参考になればと思います。良いプレゼン、これはもう永遠のテーマですね。今後も勉強していきたいと思っています。また何か新しい「気づき」があれば、ご紹介したいと思います。

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私が考えるプレゼンを良いものにする「6つの誓い」

私もしばしばプレゼンをさせて頂く機会を頂いたり、またプレゼンを聞かせて頂く機会があったりしますが、まぁプレゼンというのは千差万別と言いますか、プレゼンターによって全然違いますね。その人の個性が出てそれはそれで面白いのですが、プレゼンの目的である「何かを伝える」に立ち返ると、行き当たりばったりではなく、何らかの自分なりの「プレゼンセオリー」を持っておく必要があるなといつも感じています。

今回は色んな「師匠」に教わりながら、私なりにいつも意識してプレゼンに取り組んでいる「6つの誓い」をご紹介したいなと思います。一部「それは違うんとちゃうの」というご指摘もあろうかと思いますが。。。

  • 「しゃべりはプレゼン資料と一致させる」と固く誓う
  • 「プレゼン資料は事前に配り、出し惜しみしない」と固く誓う
  • 「資料のレイアウトはワンパターンを貫く」と固く誓う
  • 「使う色は自分が使い慣れた3色まで」と固く誓う
  • 「文字の羅列は死んでもやらない」と固く誓う
  • 「成功したプレゼンは骨の髄まで使いまわす」と固く誓う

1.「しゃべりはプレゼン資料と一致させる」と固く誓う

一般的に、「プレゼン資料を読むだけのプレゼンは駄目」とされますが、私はあえてしゃべりと資料を一致させるよう気をつけておりまして、概ね成功しています。

プレゼンというのは時間制限があるのが常。その限られた時間で正確に印象深くメッセージを使えるためには、聴衆が、「視覚で認識するメッセージ」と「聴覚で認識するメッセージ」を一致させたほうが効果的というのが私の考えです。下記の資料を使って説明しますと。。


  • まず最初にトップのタイトルの部分を「ではデジタルスチルカメラの生産台数の推移を見てみましょう」で始まり、
  • 次にタイトル下の部分の1行目「(日経マーケットアクセスのデータによりますと)2008年の生産台数は1億3,998万台、対前年成長率は11.4%と2007年より16.8%のダウンの見込みとなっております。」と読み上げ、
  • そして2行目「(全体の推移を見ますと)2004年まで高い成長率で拡大しましたが、2005年以降成長が鈍化、2008年以降は一桁成長に留まり、市場拡大にブレーキがかかる見込みです。」と読み上げます。

こうやって、私は上から下へと、しゃべりとプレゼン資料を一致させるようにしています。特にグラフの場合は、いきなりグラフを見てもそこから何が読み取れるかわからないもの。「グラフの解釈を聴衆に押し付けない」ことが重要だと思っています。

また、しゃべりとプレゼン資料を一致させようと意識すると、必然的に準備の段階で「このシートで言わないといけないことは何か」を考えざるを得なくなり、「メッセージの無い無意味なシート」を作ることを防止したり、「このデータ(メッセージ)ではちょっと弱いな」と更にデータ(メッセージ)を探したりするようになり、各シートのメッセージ性が高まっていくことを実感しています。「So What?(だから何?)」という突っ込みの事前防止が可能となるわけです。

2.「プレゼン資料は事前に配り、出し惜しみしない」と固く誓う

よくプレゼンのテクニックの一つとして、「資料を事前に配ると、聴衆は資料が手元にあることで安心しちゃってあまり聞かなくなるから、資料を事前に配ってはいけない」ということが言われたりします。これは「発表者のエゴ以外の何者でもない」と私は思っています。

プレゼン中に聴衆が眠りに入ってしまうようなプレゼンは、資料を事前に配ろうが、配らなかろうが、結果は同じではないでしょうか。プレゼンターは、「プレゼンを聴くのか、聴かないのかのボールは聴衆が握っているんだ」ということを忘れてはいけないと思います。

また、ここまで情報が氾濫する現代社会。プレゼンを印象に残るものにするためには、「情報のワンストップ化」が重要。事前にお配りした資料の隅にメモ書きをして頂いたり、アンダーラインを引いて頂いたり、目一杯配布資料を「汚して頂く」ことにより、聴衆の頭への定着度も増しますし、あとで資料を振り返る時も、記憶の蘇りがより良くなると思います。

また、プレゼン資料はいくら大写しにしても見えないときも多々あります。そんな時手元にあれば容易に確認できます。懐の小さい「出し惜しみ」はやめて、資料は事前配布とされては如何でしょうか。

3.「資料のレイアウトはワンパターンを貫く」と固く誓う

腕の良い料理人は、一本の包丁を大切に愛でながら使い、その一本で素晴らしい料理を数多く作り、お客様を魅了するといいます。これは「ビジネスの料理人」であるプレゼンターにも全く同じことが言えると思います。

名プレゼンターは自分の大切な「キラーレイアウト(フォーマット)」を持っているものです。このキラーレイアウトをどんな資料の時も使い、そして改良/改善し、より良いレイアウトに仕上げながら、素晴らしいプレゼンで聴衆を魅了する。

プレゼン資料のレイアウトは自分がまとめやすい、しゃべりやすい「ワンパターン」を貫くべきだというのが私の考えです。下記が私のキラーフォーマットなのですが。。。

まず、タイトルを青字、文字サイズ28ポイントで。その下はそのシートで言いたいメッセージを文字サイズ16ポイント、読みやすいように行間の数値も固定。メッセージは2つのメッセージまで、全体で3行を超えないことを自分に課しています。これでこのシートのメッセージを全て作り上げる。

そしてルーラーを使いながら、タイトル/メッセージの配置/整列はページ間で統一。聴衆がプレゼンの間、同じ目の動きでプレゼンを追えるようにします。

そしてその下に上段のメッセージの根拠となる数字、図表を配置。このスペースは、(1)一つの図表で目一杯使う場合、(2)二つに割って2つの図表を使う場合、の2パターンで考えています。

また、特別に言いたいことがある「パワーシート」については、タイトル、その下のメッセージでネタ振りをしておいて、最下段でバシッと決めるというフォーマットも使ったり。

また、私は「プレゼン資料には適度な余白が不可欠」と思っておりまして、事前に「余白部分」を決めており、ここには「死んでも何も入れない」と堅く心に誓っております。

プレゼン資料最外周に適度な余白を入れますと、非常にすっきりした印象になります。逆に最外周ぎりぎりまでコンテンツを詰め込みますと、非常にBusyな印象となってしまいますね。これを心がけるだけでも、印象の良い、目に優しいプレゼン資料に仕上がると思います。

こんな感じでどうでしょうか。。

こういう風にレイアウト=「見た目」を事前に決めてしまいますと、「どうまとめようか・・・」というゼロからのスタートにならずに済み、メッセージ、全体の流れなど「中身」の検討により時間を割けることになり、プレゼンの質がより向上すると思っています。

4.「使う色は自分が使い慣れた3色まで」と固く誓う

プレゼン資料作っている時、色で悩むことも多いと思います。色はその単独の色だけでなく、組み合わせで印象ががらっと変わってしまうため、色々考えて色を選んだものの、やってみたらすごいグロテスク、「お前絵のセンス無いな」と上司が一言。。なんてことありませんでしょうか。

私は色も先ほどのレイアウトの話でしました「良い料理人は一本の包丁でお客を酔わす」と同じだと考えており、「お気に入りの3色をどんなときでも使いまわす」を基本的な考え方としています。先日のエントリー男性用ブラジャーは「Wii」以上のブルーオーシャン戦略成功例か?で使いました「スマートリーン戦略」の資料で行きますと。。

この資料では、

  • 楕円の中の文字「スマートリーン戦略」と矢印で使っている青色(赤:0、緑:102、青:153)
  • スマートリーン戦略の楕円、差別化/コスト戦略の楕円の中の小さい丸使っている青色(赤:153、緑:204、青:255)
  • 「中途半端な戦略」の×印、スマートリーン戦略の四角囲いで使っている赤色(赤:204、緑:0、青:0)

の3色を使っています(細かく言うと文字の黒色と輪郭のグレーがあるのですが、そこはお許し頂きたく。。)私は、おおよそこの3色でまとめるようにしています。基本的に、青色をベースに、強調したい点を赤色にするイメージですね。

また、色ははっきりとした「原色」ではなく、おとなしい色合いの「中間色」を好んで使っております。「中間色」のほうが、全体的に資料が落ち着きますね。目にも優しいらしいです。

加えて、「輪郭線は、(1)消すか、(2)必要な場合はグレーにする」ことを心がけています。Apple社のHPを見て頂くとわかるのですが、彼らはグレーが大好き。ipodiMacもそうですが、メタリックなグレーっぽい色彩を多用してますよね。そもそも中間色というのは、原色にグレーを混ぜた色ということらしいんです。「黒でなくグレー」にすると、落ち着いたいい感じになりますね。是非お試しを!

5.「文字の羅列は死んでもやらない」と固く誓う

コンテンツがグラフの場合はあまり悩むことないのですが、「文章」の場合、どうしても下記のようなプレゼン資料になってしまいがちですよね。。聴衆からすると、文字の羅列は結構キツイです。また、文字の羅列は、メッセージを絞り出しきれていないことが多いように思います。

ここを何とか踏ん張ってですね、「俺は文字の羅列は死んでもやらない!」とがんばって、こんな感じにしたらどうでしょうか。。

どうでしょう。大分とすっきりしませんか?結構線がいっぱいの「表」にしてしまうとBusyな感じになってしまうんですが、項目だけを軽く影をつけた白い箱で作ってやって、その内容はその横に箱には入れずに併記する感じにしてやると、結構すっきりしますね。文章の羅列の時に比べると、第一印象がまるで違うと思うのですが、如何でしょうか。

「文章の羅列」は、「思いつきの羅列」になりがちです。今回ご紹介したフレームを一つ参考に、是非もうひと踏ん張りを!

6.「成功したプレゼンは骨の髄まで使いまわす」と固く誓う

ここまで苦労して作ったプレゼン資料。ですが、プレゼンが終わったらすぐお蔵入りになってませんか?これは非常にもったいない。。。

私は、「私のプレゼンフォーマット集」なるパワポデータを一つ用意してまして、一つプレゼンが終わりますと、その中から今後使えそうなフォーマットをピックアップしまして、「私のプレゼンフォーマット集」に追加しています。苦労して作った秀逸の(?)フォーマットたちが「ワン・ストップ・データベース」のようになっています。

「うまくまとまらんなぁ」と悩んだときに、このフォーマット集を頭からざざざっと見ていくと、「あっ。これ使えるやん」という感じで、意外と昔の財産の転用が利くことがありますよ。

聴衆は私の過去のプレゼンを知らないわけですから、フォーマット集からの使いまわしは何の問題もありません。色々考えて、時間をかけて新しいフォーマットを考えたとしてもまだ完成度は低く、それよりも以前プレゼンで使い成功したフォーマットを使いまわすほうが完成度は高く、聴衆にメッセージをしっかりと届けることが出来ると思います。

皆さん、堂々と胸を張って、自分が魂を込めて作ったフォーマットを骨の髄まで使いまわしましょう!

最後に:プレゼンの目的は「何かを伝えること」

結構外見にこだわる、若干偏った内容になってしまいましたが、今回お伝えした内容は、

  • 何かを効果的に伝えるためには、ある程度の「身だしなみ=外見」が必要
  • 何かを効果的に伝えるためには、ある程度の「型」にはめると効果的

を意識しており、あくまで、プレゼンの目的である「何かを効果的に伝えるための手段」であると考えて頂けるとありがたいです。

「外見より中身が重要。」もちろんその通りです。しかし、合コンのシーンを考えてみると、どんなに性格に良い「イイやつ」でも、ある程度の「身だしなみ」を備えていないと、女の子に話も聴いてもらえないというのが実情ではないでしょうか。

かっこよくて、斬新で、新しい。そんな必要は全くありません。プレゼンの目的「何かを伝える」は絶対忘れずに、プレゼンのテクニックはその「手段」であって、テクニックを磨くこと自体が「目的」とならないよう、気をつけましょう。私自身も。。

今回ご紹介した内容が少しでも参考になれば。

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男性用ブラジャーは「Wii」以上のブルーオーシャン戦略成功例か?

この年末、テレビ・雑誌で「変なもの」を良く見かけませんでしたか?以前より話題になっていたようなんですが、恥ずかしながら私は未チェックで、年末の深夜番組でのこんな紹介で初めて知りました。

サラリーマンの40〜50%は男性用ブラジャーを愛用している。彼らのことを「ブラリーマン」と呼ぶ。

男性用ブラジャーは、楽天市場に出店中の下着専門店「ウィッシュルーム」が、「どうしてメンズブラはないの?」という素朴な疑問からスタートし商品化。価格2,800円で発売後3週間で500個を完売。先ほどHPを確認したら、約2/3は品切れのようです。。

下着専門店「ウィッシュルーム」のHP

意外にも、あなたに大目玉を食らわしている怖〜い上司も、男性用ブラジャーを着けているかもしれません。

私はまだ愛用していないのですが、それ以来男性用ブラジャーのことが頭から離れず、男性用ブラジャーについて色んなことを考えている中で、「実は男性用ブラジャーって究極のブルーオーシャン戦略ちゃうの」と思っていたところ、ネットでも同じような論調があった「男性向けブラジャーはブルーオーシャンなのか?(日経ビジネスオンライン)」ので、一つ整理してみようと思い、今回のエントリーに至っております。

ブルーオーシャン戦略とは何か

フランスとシンガポールにあるビジネススクールINSEADの教授、W・チャン・キムとレボ・モボルニュの2005年発表の著書「ブルーオーシャン戦略」で紹介した新しい戦略論で、当時反響を呼びました。

市場シェアの獲得のために、熾烈な価格、機能、品質競争を強いられる既存市場=「レッド・オーシャン(血の海)」での競争を回避するために、今一度商品/サービスをゼロベースで見直し、既存の商品/サービスに対し「取り除く・減らす・増やす・加える」を行い、新しい定義を与えることにより、競争相手が一人もいない新しい市場=「ブルー・オーシャン(青い海)」を目指す。簡単に言いますとこれが「ブルー・オーシャン戦略」であります。

今までマイケル・ポーターに代表される競争戦略論で言われていた、「競争に勝つためには、低価格化か、差別化(高付加価値化)かを選択する必要がある」と言われていましたが、ブルーオーシャン戦略との関連の中、下記のマトリックスのように「低コストと高付加価値を両立する」新しい方向が提示され、最近「スマート・リーン戦略」と呼ばれています。

このブルーオーシャン戦略、スマート・リーン戦略の成功事例の一つとして、任天堂の「Wii」が良く取り上げられているわけですね。

Wiiは「ブルーオーシャン戦略」の成功例

そこでWiiのケースですが、任天堂ニンテンドーゲームキューブソニープレイステーション2で後塵を拝していたとき、最先端のグラフィック技術を核とするプレイステーション2との正面衝突を「レッド・オーシャン」と捉え、レッド・オーシャンでのガチンコ勝負を避け、今までゲームに縁の無かった女性、中高年=「ブルー・オーシャン」を切り開こうとしたのがWiiブルーオーシャン戦略である、という考えです。

その際、下記の「戦略キャンバス」というツールを使い、「ブルーオーシャン」にいる新しいターゲット顧客=女性・中高年にとって「不要」な機能を取り除き、その代わり「わかりやすさ」とか「親しみやすさ」などの新しい付加価値を加えることにより、「ゲーム機の再定義」を行ったんですね。その後のWiiの成功は皆さんご存知の通りです。

男性用ブラジャーをブルーオーシャン戦略として分析すると。。

ここで、ブラジャーをこの「戦略キャンパス」を使って考えてみたいんです。昨今、女性向けブラジャーの世界では、美しいバストラインを実現するための「寄せて上げる」戦争があり、ここが開発費用、製造コスト上昇の要因となりながら、ライバルとの極めて激しい競争を余儀なくされる「レッド・オーシャン」であるわけです。

しかし、こと男性用を考えてみると、「寄せて上げる」必要がない。そもそも「寄せてあげる」ものがない。ここで、男性顧客にとって不必要な機能というものが出てきます。つまり、「寄せて上げる」機能を取り除くことにより、低コスト化が可能となるわけですね。

また、女性向けブラジャーの世界ではデザイン性についての競争も激しい。そしたらデザイン性はどうか。男性用ブラジャーではデザイン性を取り除くことができるのか。残念ながらデザイン性は不必要とは言えそうにありません。男性はブラジャーに「癒し」だとか、「やさしさ」を求めています。癒し、やさしさとは、その肌触りなど機能面もさることながら、美しい装飾、デザインとの合わせ技で生まれるもの。ですので、女性用とまでは言いませんが、デザイン性は男性用ブラジャーにとっても手を抜けない、抜いてはいけない部分だと思います。

これを戦略キャンバスで書いてみると、下記のような感じでしょうか。

こう見ていきますと、男性用ブラジャーというのは、今までブラジャーに縁の無かった「男性」という全く新しい顧客=ブルーオーシャンを開拓し、更に女性向け同様の付け心地、デザイン性は維持しながらも、大きなコストアップ要因であった「寄せて上げる」機能を大胆に取り除くことにより、ブラジャーという製品に新しい定義を与え、低コストと高付加価値を同時に実現する、Wiiにも負けずと劣らない、日本を代表するブルーオーシャン戦略の成功モデルである、そして世界に広く紹介されるべきモデルであるのだ、と言えると思うんですね。

参入企業が少なく、また競争が激しくない。加えて価格はそれほど下げていないところからすると、低コストで生産可能と想像される男性用ブラジャーの利益率は相当高いはず。

今後の男性用ブラジャーを巡る動き

今後の注目すべき点。それは下着業界のガリバー・ワコール、業界の風雲児トリンプ、また「ブラカップ付きキャミソール」で下着業界を席巻したユニクロの動き。こういったビッグネームがこの男性用ブラジャー市場に参入するか。もし参入するとしたら、どんな手を売ってくるか。

女性下着売り場の一角に男性用下着売り場が出来るのか。それを買いに来た男性はやはりその店で試着するのか。その試着した男性を見た女性販売員はやはり「お似合いですね」なんと言うのか。ユニクロの店頭が男性用ブラジャーで山積みとなるのか。また、ユニクロに対抗し、しまむらなどの実用衣料メーカーチェーン、イトーヨーカドーなどの大手スーパーマーケットチェーンの店頭を男性用ブラジャーが飾る日はやってくるのか。。

ただ私が思うに、男性用ブラジャーのブルーオーシャン戦略は更なる改善余地を残しているのではないでしょうか。

男性用ブラジャーは、ブルーオーシャン戦略の肝である「除去・減少・増加・創造」について、「除去・減少」による低コスト化はなされていると思うのですが、「増加・創造」による新しい付加価値が生まれていない点が、今後の更なる発展予知を残しているのではないかと私は考えます。

男性の思いを実現し、悩みを解決するブラジャー。

例えば「スポーツブラ」的なアプローチ。スポーツウェアメーカーのビッグネームが市場に参入、アスリートの能力を極限まで引き上げる男性用スポーツブラが登場。イチローが男性用スポーツブラ着用で前人未到の4000本安打を達成し、市場初の「50歳200本安打」を達成する日が来るのか。サッカー日本代表が男性用スポーツブラを着用、悲願のワールドカップベスト4入りを決め、あまりの喚起に選手全員がユニフォームを脱ぎ捨て、その下には全員おそろいの男性用スポーツブラという時代がやってくるか。

また「加齢臭撃退ブラ」はどうでしょう。加齢臭の原因である不飽和アルデヒドの2−ノネナールを抑えるミョウバン溶液がブラジャーの中に含まれており、これがノナネール発生を抑制する。加えて体の一部を若干締め付けることにより、ノナネールを発生させる体内細胞の運動を抑制、加齢臭の根本的な解決に寄与する。そんな医療用ブラジャーが登場するか。

いずれにせよ、ブルーオーシャン戦略の考え方を使い、男性向けのものを女性にも、逆に女性向けのものを男性にもという大胆な発想は、あなたに今までに無い斬新な新製品・新規事業開発の機会を与え、今まで誰も見たことの無いブルーオーシャンへといざなってくれることでしょう。

あなたが何か袋小路に入ってしまったとき、この「男性用ブラジャー」を思い出し、思考の広がりを遮る壁を取り払ってしまいましょう。


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