サンフランシスコに行ってきました。あくまで仕事で。。

先週一週間、仕事でサンフランシスコに行って参りました。訪れたのはサンフランシスコから南下し、途中シリコンバレーがあるサンノゼを通過、2時間ほどで到着するモントレーという町。Carmel Beachなどのきれいな海岸、Whale Watchingも可能なFisherman’s Wharfなどとても楽しい観光地なのですが、私の仕事のある半導体関連産業の大規模なカンファレンスが毎年このモントレーで開催されます。

シリコンバレーからは少し離れているのですが、参加する企業、人たちは普段シリコンバレーで働いている人たちが多く、会場全体がシリコンバレーの雰囲気でした。

とにかく天気と空気が良いんですよ!雲ひとつない青空なんですが、その青さが筆舌に尽くしがたく感動的。澄んだ青というのかな、日本ではなかなかお目にかかれない素晴らしい青空です。そんな中ですので、カンファレンスの出席者は「まじめなビジネスマン・エンジニア」もそこそこに、半分は観光気分(すいません!)といった和やかな雰囲気。

そういえば、梅田望夫さんの著書「シリコンバレー精神」の冒頭に、シリコンバレーについてこんな記述がありましたね。

夏はかなり暑い日が続くことがあるが3月頃から11月頃まで、心地の良い快晴の日が続く。雲のない空の青は濃く、雨はほとんど降らずジメジメしない。(中略)ハイテク・ベンチャー企業の集積地シリコンバレー企業の気候条件が最高で、自然環境にも恵まれ、できれば仕事などしないで過ごしたいなぁ、と心から思うような場所であることは、案外知られていない。(P20)

もう、この通りの場所です。そりゃー梅田さんもシリコンバレーから帰って来ないわけだわとすごく納得した次第であります。


私が感じたシリコンバレー流の「働き方」

このような最高の気候条件ですので、人の気持ちにも大きく影響を与え、また「働き方」にも大きな影響を与えているように感じました。また例え遠く離れた日本であったとしても、そこから学べることはとても大切なことでではないかなと思い、ちょっと書いてみたいと思います。

圧倒的な「楽しむ精神」に金融危機は関係無し

プレゼンテーションでは関西人ばりのギャクを織り交ぜ(残念ながらどこが面白いのか英語がわからんのです。。)、そしてカンファレンス後のポスターセッションではみんながビールやワインを片手に本気で見てるんか見てないんかようわからんような状態、そして最終日のパーティーでは女性陣はここぞとばかりの背中パックリのドレスアップ!、そしてアトラクションには初めてお目にかかる「ソムリエ漫談おじさん」のエンドレスの漫談大会!

先週一週間は金融危機を始め世界各国で大変なことが立て続けに起こっておりましたが、モントレーではそんなことお構いなしに祭りは夜まで続くのでした〜。


シリコンバレーには「偉ぶった親父」はあまりいない

会場にはシリコンバレーの有名企業のお偉い方も沢山来られます。日本だったら、そのような方は黒塗りの車でお付きの人とともにやってきて、自分の出番を終えたら偉ぶった態度でさっさと帰っていくという感じだと思うのですが、ここではそんな光景はほとんど見られません。私たちみたいなペーペーにでも「Welcome to Monterey!」なんて笑顔で言ってくれるし、素晴らしいプレゼンテーションに対してはそのプレゼンターへの賞賛を惜しみません。

なぜこうトップ・エグゼクティブがフランクなのか。ある組織のトップであることと開発担当者の違い、日本だとそれはまさしく「地位の違い」であり、上下関係が大前提になりがち。ですがシリコンバレーではそれは単なる「役割の違い」であり「地位の違い」を意味するものではない、この意識をトップ・エグゼクティブが強烈に持っているような気がしました。

しかし、単なる「謙虚」ということとは違うんですよね。激烈な競争社会があり、明日の雇用が保障されないシリコンバレーですので、その「役割」に対するコミットメントの強さは強烈なものがあります。ではこのような思考の原点は何なのか。以前書評を書きました酒井穣さんの「あたらしい戦略の教科書」にある下記の言葉を思い出しました。

ビジネスの複雑さがものすごい勢いで増している現代社会においては、現場の専門知識が乏しいトップが、戦略のすべてを管理することにリスクが極端に高まっています。(中略)そうした意味で、現代における戦略とは、現場に近い各分野の専門家が、ボトムアップ的な方法で、その立案以前から積極的に関わっていくべきものになったのです。(P5)

シリコンバレーに生きるトップ・エグゼクティブは、激烈な技術進化の波に揉まれながら、このリスクを強烈に意識しているのかもしれませんね。

むしろ日本より「家族意識」が強いのではないか

よく日本企業の良いところとして「家族主義」が上げられますが、そしたら「アメリカの企業って家族主義じゃない」と言うとそんなことはなく、私は特にシリコンバレーの企業は「家族主義的な面も大いにあるんじゃないの」との印象を強く持っています。

確かにウォール街の金融関連企業には「家族主義的要素」は無いかもしれないですが、シリコンバレーの人たちの一緒に仕事するメンバーへの愛情はとても深いものがあると以前より強く感じています。

また、今回のような業界人があつまるカンファレンスのような場所では、チーム・会社を超えて、同じ産業で切磋琢磨する人たちがある種「家族的」な思いやりや愛情を持ちながら、業界全体を盛り上げていこうという「やさしい風」が吹いている感じがします。なので、例え競合相手であったとしても、大きな問題がないのであれば、情報を提供しあったりしているんですよね。

なのですが、私が不思議に思うのは、やはりシリコンバレーでの激烈なサバイバル競争は変わらないわけですよ。明日の自分の仕事が保障されているわけではない。そんな中でもこんなに大らかな気持ちで仕事が出来る原動力は何なのか。まだ「これだ!」と言えるわけではないのですが、梅田望夫さんの「シリコンバレー精神」での下記の記述はシリコンバレーの人たちの「心のよりどころ」なのかもしれませんね。

ここシリコンバレーで色々な人たちと出会い、色々な人たちの考え方に触れ、色々な人たちの生きざまを見つめ、最近私の中に芽生えてきたのは、彼らの「個人としてリスクテイクする生き方」への憧憬というべき感覚です。またその文脈で「変化していく自分」を楽しもうとする気分も生まれつつあります。今年は自分の身の上にどんなことが起こるのだろう、来年の今ごろは何をしているのだろう。そんなことまでひっくるめてすべてを「前向きに、明るく、真剣に、楽しんでしまおう」という気分は、新しい感覚の萌芽と言えます。(P212-213)

遠く離れた日本ですがこのような気持ちを少しでも持って、色んなことを楽しめたらな、そして来年もまた行けるといいなと願いながら、あの澄んだ青い空を思い出しております。


いかがでしたか?もし「おもろい!」と思われたらクリックをお願いします!


にほんブログ村 経営ブログへ