日経ビジネスオンラインの佐久間さんの「私塾」が勉強になっています

以前、斎藤孝さん、梅田望夫さんの共著「私塾のすすめ」を読み、ブログを介した私塾、師弟関係について書きました。

最近、ブログ以外でも「私塾」的な動きが結構あり、その中でも私が毎週楽しみに勉強させてもらっている「私塾」をご紹介します。

日経ビジネスオンラインの「佐久間陽一郎の資源配分から考える経営戦略」です。

内容としてはベーシックなものですが、非常に大切な「核」の部分について述べられていて、忘れていた「非常に大切なもの」を思い出させてくれる、そんな内容です。

佐久間さんの経歴(日経NBより)
1951年生まれ。77年東京大学工学部卒業。82年米ウエスバージニア州立大学で理学修士号を取得。三菱鉱業セメント(現三菱マテリアル)を経て84 年、米コンサルティング大手アーサー・D・リトルの日本法人、アーサー・D・リトル(ジャパン)に参画。戦略と組織に関わるコンサルティングを担当する。 93年アーサー・D・リトル(インターナショナル)副社長。96年独立して佐久間コンサルティングオフィスを設立、現在に至る。スタンレー電気社外監査役東北大学大学院客員教授日本工業大学大学院技術経営研究科教授を兼任

梅田望夫さんもアーサー・D・リトルご出身でしたね。

毎週土曜日に新しい内容がWebで掲載されますが、毎回「宿題」が出ます。この宿題の回答を使いながら、次回にその回答が示され、次の「宿題」が出るといった感じです。

例えば。。

第一回は「企業はなぜ戦略の本質を見誤るのか」というお題で、「成功事例」としてGEを、そして「改善余地あり」として日立、HOYAの事例をわかりやすく解説頂き、「戦略の本質をは何かについて」書かれています。

第一回の宿題は下記でした。

ドラッグストアの安売りなどの影響で業績が悪化している大衆薬メーカーの中で、ロート製薬が業績を伸ばしている。同社の主力は大衆向け目薬などのアイケア関連製品と軟膏の「メンソレータム」に代表されるスキンケア関連製品だ。ところが、業績を牽引しているのはこれらの主力製品ではない。実は「ビューティー関連」と呼ぶ化粧品である。
 「オバジ」や「肌研(ハダラボ)」といったブランドで販売されている化粧品の売り上げは、2000年度には実質ゼロだった。ところがわずか5年後の2005年度には売上高の1割を超えるところまで成長した。だが、果たしてロートは化粧品という新規事業を作り上げたと言えるのだろうか。

これに対し読者が100字で佐久間さんに回答を送ります。それを受けて、佐久間さんは2回目にアンゾフの「成長マトリックス」を使いながら、下記のような内容が読者に提示します。


能力や技術の点でも新たなものを開発したと言うよりは、既存のものを応用したと言う方が適切だ。つまりロートの化粧品は、新規事業を開発したものではなく、既存事業を深耕したものと見ることができる。いわば得意分野を深く掘ったから、わずか5年で売上高の1割を超えるところまで育てることができたのだ。

そして結論として、

だが戦略の王道は既存事業の深耕にある。既存事業にはまだまだ宝の山が眠っているはずだ。そこを深く掘らずに脇へ目を向けてはならない。では、既存事業を深耕するにはどうしたらいいのか。

そして次への「宿題」として

それにはまず、自社の既存事業、すなわち本業が何かを明確にすることが必要だ。ところが、日本企業の中には本業を明確に定義できていないところが少なくない。なぜなのか。本業を明確に定義するにはどうしたらいいのか。次回はこの点を取り上げることにする。読者の方々には予習を兼ねて以下の宿題に対する答えを100字以内で記して送信していただきたい。

という感じで次回に続いていくのです。

「戦略の王道は既存事業の深耕である」というのは、私が忘れていた大切な視点であり、非常に勉強になりました。

まだ今週土曜日に3回目が終わったところですので、みなさんもぜひ参加なさってはいかがでしょうか。

やはり本にはない、インタラクティブ感があり、内容の「腹落ち」は本以上のものがあると痛感。
無料というのもありがたいことです。内容は無料とはとても考えられないものです。

私塾のすすめ」に書かれている下記のことを強く感じますね。

インターネットがわれわれの能力の増幅器であるということですね。蒸気機関や自動車が人間の筋肉の能力を増強したように、ネットが脳とか人間関係を増幅する。距離と時間と無限性の概念をゆるがしているわけです。リアルの限定されたコミュニティーだけにとらわれず、未知との遭遇のありようが変わってくると、いろいろな可能性が出てきます。(P49より)

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