まじめに書評 「企業参謀」大前研一著

いちおう「戦略を考える」という任務を負っておりまして、戦略系の著書は読むんですが、ずーっと気になっていた大前研一さんの「企業参謀」。大前さんがこれを書かれたのが1975年の32歳の時。私2歳ですね。。。

私の中で「企業参謀」は戦略論の古典、抑えとかんといかんかなーと思っていたのですが、なんと文庫本で税抜き448円という激安ぶりで、早速購入しました。

企業参謀 (講談社文庫)

企業参謀 (講談社文庫)

やっぱいいです。これ、仕事で使えますよ。あえて言うと下記3ポイントでしょうか。

1.図表が豊富、かつパくれる
「企業参謀」は216ページほどのそれほどページ数が多くない本ですが、数えてみたら図表が69図表あります。その中でもフレームワーク的なものを提示しているものが多く、特に

・本質的問題解決のプロセス
・イシューツリー(なぜコストが高いのか?を分析)
・プロフィットツリー(利益を改善するにはどうすればいいか?を分析)
ポートフォリオ管理(PPM

は、そのままパくれます。私だったら、何か問題解決にあたる際に、この4Pをパワーポイントで用意して、インタビューの際のフレームワークに使ったりしたいなと思いますね。
こんな感じで。

2.「明日から何やるべきか」がいい感じで腹に落ちる
ちょっと意外な感じもあるのですが、中期経営計画を作成し、それをいかに実施していくかということについて、下記の記述があります。

明日の朝、担当マネージャーが何をしたらよいかまで消化して書かなければ、何事も起こらないのが普通である。また、モニターも定期的に行い、目標からずれてきたときには、必要な分析を繰り返して、ラインを納得させ、勇気づけてやるべきである。

私は、「PDCAって本当に難しい。特にC(Check)→A(Action)が難しい。。。」と常日頃思ってるんですが、これに対する大前さんの

「ラインの納得感と勇気づけ」
というのは、明日から私たちも手帳にメモして実践せんといかんなーと思った次第です。
計画を達成してないからと言って、怒鳴りつけてはいけないんですよ。

マッキンゼーというと「戦略のみで、実行はクライアントにおまかせ」という印象ありますが、「企業参謀」での大前さんの主張はかなり現場に食い込んだ内容だなとの印象です。やはり現場への食い込みの重要性を強く感じられたのでは。

また、「参謀五戒」という、戦略参謀明日から絶対死守という5戒は説得力ありますわ。。


1.参謀たるもの「イフ」という言葉に対する本能的恐れを捨てよ
  (いつでも解答が存在していると思うな。代替案をつねに吟味せよ)
2.参謀たるもの完全主義を捨てよ
  (タイミングが重要、対極的な判断を果敢に行え)
3.KFS(成功のための主要因key factor for success)について、徹底的に挑戦せよ
  (KFSが何であるかという認識を忘れず、KFSに徹底的に挑め)
4.制約条件に制約されるな
  (「なにができないか」でなく、「なにができるか」を考えろ)
5.記憶に頼らず分析を
  (「知識」ではなく、事実に基づく「分析力」「概念を作り出す力」を伸ばせ)

勉強になります。。。

3.ツールの使い方としてのケーススタディーがおもろいし、使える
大前さんは「企業参謀」で「戦略的思考の重要性」と「戦略的思考のツール」を紹介されているのですが、その「使い方」として、後段でケーススタディーを書かれておりますが、これが面白いのですが、企業を題材とせずに、

ニュージーランド沖での日本イカ船団の乱獲をどのようにおさめるか」
という、国政への応用という形で書かれています。これがかなりいいなと思ってまして、これこそパくれます。これについては別の機会に書きますね。

近視眼的に見るのではなく、俯瞰してみることの重要性を「イカ」に託されています。

また、ビジネスだけでなく、政治やその他の分野でも「戦略的思考」が必要ということをおっしゃりたいんだと思います。

ただしですね、家庭に「戦略的思考」を持ち込んで、失敗している人を何人か見ておりますので、そのあたりはご注意を。。。

「企業参謀」をカバンの中につねに入れておいたら、結構使えるんではないでしょうか。


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