「勝手広告」に見る「自分の力を増幅する装置」としてのネットの力

前回のエントリー祝・梅田望夫さんブログ復活 〜「時代の力」と「時代の荒波」〜で、梅田望夫さんのJTPAシリコンバレー・カンファレンス(2009年3月21日)での講演「自分の力と時代の力」をご紹介させて頂き、恐縮ながら下記のようなまとめをさせて頂きました。(このまとめを「いいですな」と褒めて下さった方がおられました。ありがとうございました。)

自分一人の力だけではたどり着くことができない場所に自分を運んでくれる「時代の力(世界経済の力、日本の力、自分が選んだ産業や得意領域の持つ力)」というものが過去存在したんだが、この「時代の力」が段々と弱まっていて、「自分の力」で自分の未来を自分で切り開いていかないといけない時代になっている。ではあるが、インターネットに代表される「自分の力を増幅する装置」は依然と比べ物にならないほど充実しており、こんな時代だからこそ、この「増幅装置」をフル活用し、「自分への投資」を継続しなければいけない。

この中で語られている「自分の力を増幅する装置」という言葉。まさしくこの言葉を実感させられるお話に触れましたので、今回ご紹介させて頂きます。

ネット上で増殖する「勝手広告

日経産業新聞に毎週火曜日に掲載されている高広伯彦さん(博報堂電通GoogleのAd Sales Planning Team Senior Manager→現在独立、「スケダチ|高広伯彦事務所」社長)の「メディア原論」というコラムをいつも楽しみに読んでいるのですが、2009年4月14日のコラムで「勝手に作られる広告」という記事がありましたのでご紹介したいのですが。。

簡単にご説明すると、生産者や販売元ではなく、消費者やユーザーが「勝手」に作る広告が最近ネット上で増殖しているというお話。確かにGoogleで「勝手広告」と入れると、多種多様な商品の勝手広告が出てきます。



これらの「勝手広告作家」の中にはかなりの強者が存在しているらしいのです。ある勝手広告作家が学習塾Z会の「勝手広告」を作成したところ、Z会に「オフィシャルな広告」として認められ、逆にZ会から正式に依頼を受け、「勝手広告」テイストな「オフィシャル広告」を作るという現象が起きているというのです!「勝手広告作家」がいつのまにか「オフィシャル広告作家」になったという。。。

Z会が勝手映像作家神酒大亮氏に広告作成を依頼したことに関するプレスリリース


「増幅装置」を使って「勝手にやる」ことの重要性

この事例こそが梅田望夫さんがおっしゃる「自分の力を増幅してくれる装置」と言えるんじゃないかと思ったんですね。。プロとアマチュア、オフィシャルとプライベートなどの従来対立したものと捉えられている概念の間にあった「壁」をとっぱらい、「作品として価値があるかないか」で判断され、評価されるオープンでフラットな世界が広がってきているという事例だと思います。こういうのってものすごく単純に「おもろい」し、何か「わくわく」させられますよね。

また、この事例に触れて私がちょっと思ったのは、「誰にも頼まれていないことを、自分の意思を持って、勝手にやることの重要さ」ということなんですね。

前回のエントリーで、「仕事と幸福、そして、人生について」の本の中の下記の言葉をご紹介しました。

仕事と幸福、そして人生について

仕事と幸福、そして人生について

昔なら、目の前にやらねばならない仕事があり「仕事の意義」などという哲学的なことを考える時間はなかった。だが、今は違う。誰もが、自分の職業を自分で作り出さねばならない時代だ。理由は、仕事が文字通り自分のビジネスになったからだ。誰もが自分の力で自分の仕事を作り出し、管理し、マーケティングを行い、維持していかなければならない時代になったのだ。

この「自分の職業を自分で作る」ということを考えると、自分の志向性に基づいた何らかの意思のもと、プライベートとかオフィシャルとか関係なく、ネットなどの「増幅装置」をフルに活用し、誰にも頼まれず「勝手にやる」ということの積み重ねが、結果として自分の仕事を作り上げ、Z会勝手広告作家がZ会のオフィシャル広告の依頼を受けたように、自分単独の力では到達できない場所まで自分を運んでくれるのではないかと思ったんですね。

これは仕事でも一緒ですよね。新規事業なんかは、「under the table」なんていう言葉もあるように、誰もが見捨てたプロジェクトをある思い入れの強い一人が「勝手に」継続開発していたものが元になって花開くというようなこともありますしね。

梅田望夫さんのブログと合わせて読むことにより、「誰にも頼まれていないことを、自分の意思を持って、勝手にやることの重要さ」そんなことを考えた高広伯彦さんのコラムでした。

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