「三十歳から四十五歳」を無自覚に過ごすな〜蒲島郁夫氏〜

梅田望夫さんが著書「ウェブ時代をゆく」で提言されている「ロールモデル思考法」という言葉をご存知でしょうか。

「好きなこと」「向いたこと」は何かと漠然と自分に向けて問い続けても、すぐに煮詰まってしまう。頭の中のもやもやは容易に晴れない。ロールモデル思考法とは、その答えを外界に求める。直感を信じるところから始まる。外界の膨大な情報に身をさらし、直感で「ロールモデル(お手本)」を選び続ける。たった一人の人物をロールモデルとして選び盲信するのではなく、「ある人の生き方のある部分」「ある仕事に流れるこんな時間」「誰かの時間の使い方」「誰かの生活の場面」など、人生のあらゆる局面に関するたくさんの情報から、自分と波長の合うロールモデルを丁寧に収集するのだ。(「ウェブ時代をゆく」p119-120)


自分がどう生きるかについて、悶々と自分だけで考えるんじゃなくて、自分以外のお手本に学び、真似る。私は無意識にそんなことを意識して色んな人の生きたかに触れてきたのかなと思ってます。そんな私にとってのロールモデルをこのブログでも少しずつ紹介してみようと思ってます。

そんな中、最近かなり衝撃的なロールモデルに出会いました。
2008年4月に東大教授から熊本県知事に転身された蒲島郁夫さんです。

蒲島さん、家庭の事情で高校卒業後大学に進学することができず、地元の農協に就職されたんです。そして、東大教授、熊本県知事。これはどんな経歴か。。。かなり興味を持ちまして、wikipediaの情報を基に、蒲島さんの経歴をまとめて見ました。

このブログの最初に梅田望夫さんの「ウェブ時代をゆく」から「三十歳から四十五歳という大切な時期を無自覚に生きるな」という言葉を取り上げさせて頂きました。私もそれを強く意識する世代なのですが、資料上で「三十歳から四十五歳」がわかるようにしてみました。蒲島さんはこの「大切な時期」をどう生きたのでしょうか。

蒲島さんの経歴は異色中の異色です。高校卒業後、地元の農協に就職されましたがなじめず、農家の青年をアメリカに派遣し実習させるという制度に応募し、見事その研修生に選ばれ、アメリカに渡ったのです。当時22歳。もちろん英語は全くダメ。。。

蒲島さんは次もチャンスをGetします。農業研修生が3ヶ月だけネブラスカ大学の研修を受けるチャンスを与えられる制度を利用し、そこで一生懸命勉強されました。その後研修生ではなく「ネブラスカ大学で生徒として勉強したい」と相談したところ、入学試験を受けるチャンスを得ました。だけど、不合格。。。

ですが、当時親交のあった先生が、見るに見かねて、「蒲島はとてもやる気のある男だから、チャンスを与えてやってくれ」と入試担当者に掛け合ってくれて、「仮入学」という、今そんな制度あるのかなと思うようなチャンスをGetされました。当時25歳。入学と同時に恋人を日本から呼び寄せ、結婚。入学と同時にですよ。卒業ではないのです。

ここから蒲島さんの「三十歳から四十五歳」が始まります。蒲島さんは猛勉強でネブラスカ大学にて大変優秀な成績を収められました。優秀な成績ゆえに、研究者として大学に残ることを打診されますが、そこで止まらないのが蒲島さん。幼いころから「政治を勉強し、政治家になりたい」という夢に突き進みます。今までの農学における輝かしい実績を自ら降ろし、またもや猛勉強の末、あのハーバード大学大学院政治経済・行政学専攻博士課程に入学されます。当時31歳。2人のお嬢さんがおられたとのこと。。。

ハーバードでも猛勉強を継続され、奨学金を得ながら家族を養い、素晴らしい論文を数々発表され、晴れて筑波大学にて政治学者になられたのです。当時34歳。

そこからは国際的に政治学者としての実績を確実に積まれ、最終的には異例の人事で東大教授に。そして、一時は断った熊本県知事選への出馬を決断、大差で勝利し、念願の政治家になられたのです。62歳。31歳でハーバードに入学されてから31年掛けての夢の実現。

蒲島さんは三十歳から四十五歳をどのように生きたか。その一番のポイントは31歳のとき、夢に向かい、ハーバードという当時の蒲島さんにとっての未知の世界に「一歩踏み出した」ということではないでしょうか。

そんな蒲島さんの下記の言葉、「三十歳から四十五歳をどのように生きるか」を強烈に教えてくれる言葉です。

夢を持って、一歩踏み出すことです。夢を持っただけでは、化学反応は起きません。夢に向かって一歩踏み出した人、人生の可能性を信じて、逆境をポジティブに捉え、与えられた舞台の期待値を越えていけば、やりたいことの大概は実現できるはずです。


一歩を踏み出す、本当に一歩を踏み出した人の言葉は本当に重いです。是非、下記URLより、蒲島さんの声に触れてみてください。心から勇気付けられます。

長野商工会議所のHPにある蒲島郁夫さんのインタビュー記事
http://www.nagano-cci.or.jp/tayori/716/ts.html

あっ。蒲島さんの著書があります。私もまだ未読ですが、皆さんも是非。

逆境の中にこそ夢がある

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運命―農奴から東大教授までの物語

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